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【紹介】ハイソサエティ

品よくお金を使うのが上流階級の証。使いすぎに気をつけて!


【評 価】8/10
【運要素】中。運だけでは勝てませんが、最後の勝敗は運次第なところも。
【戦略性】中。どこでどれだけお金を使うかの計画性が大切です。
【難易度】易。少し例外処理もありますが、難しくはありません。

【ルール概要】
 競り上げ式の競りゲーム。ただし、競りの途中に出したお金は戻さずに金額を釣り上げる必要があります。
 競りでは得点のかかれたタイルを競ります。最終的に最も得点を稼いだプレイヤーが勝利します。
 ただし、ゲームの最後に最もお金が少ないプレイヤーは得点計算に参加することなく脱落します。

【魅力その1 脱落者になるかならないかの緊張感】
 概要にも書いた通り、このゲームでは競りゲームながら最終的に所持金が最も少ないと脱落してしまいます。お金を稼ぐ手段はありませんので、競りでどこまでお金を使うか、使わせるかという駆け引きで脱落者が決まります。
 使った合計金額は正確にカウンティングしていない限りあやふやになるため、最後まで緊張感のある競りが楽しめます。


【魅力その2 アクシデントタイルによる変化】
 競る対象のタイルの中に、アクシデントタイルというマイナス効果のタイルが3種含まれています。これらは通常の得点になるタイルとは競りが異なり、「最初に降りたプレイヤーがタイルを受け取り、残りのプレイヤーは宣言してきた金額を支払う」競りになります。
 これにより、競りを繰り返すだけにもかかわらず単調さを感じることがありません。


【魅力その3 タイルの登場順で生まれるドラマ】
 ゲームはタイルの中に含まれる赤いタイルの4枚目が競り対象になったらその時点で終了します。
 競り対象のタイルはもちろんランダムに登場するので、場合によっては登場しないタイルが出てくることもあります。
 また登場順によって脱落者が変わることも頻繁なので、自然とドラマチックな展開になります。


【総評】
 クニツィア氏のデザインだけあってさすがの一言。競りゲームではこれ以上ないほどコンパクトなルールとドラマチックな展開でありながら、競り特有のヒリヒリした緊張感を全く損なっていないのが素晴らしいです。
 ニューゲームズオーダーさんの日本語版は競りの対象がタイルになっており、ちょっとした満足感が得られる点も好きです。
 ゲームを楽しむにはちょっと慣れなどが必要な気もしますが、わかってくると非常に面白い傑作だと思います。

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