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最近面白かったゲーム(2017/06/12)

1.オルレアン(暫定評価:8)

 2015年のKdJノミネート、DSP2位の大作を遅れ馳せながら初プレイ。
 メインシステムは袋にチップを入れ、それをカスタマイズしていくプールビルド。まずチップをドローし、同時プロットでチップを各アクションに配置。その後、ひとつずつアクションを選んで実行していく。
 ゲームは全体で18ラウンドもあるが、同時プロットのおかげでサクサクと進むのが心地良い。欠点として衝立が付属していないが、いわゆる紳士淑女協定(プロット中は他人の個人ボードを見ない)で自分は気にならなかった。
 最初はよくわからないまま効率のよさそうなこと、できることをやっていくが、プレイ中に色々な気付きがあり、終わる頃には『次はもっと上手くできる』と思わせてくれる。ある程度どの要素もやる必要があるが、どれを優先するかは選べる感じなので様々な戦略が試せそう。
 総じてリプレイ欲が刺激される秀作。拡張も複数出ており、国内のショップにも時折入荷しているため手に入れたい。
 なお余談だが、日本語版には市民トークンの処理に関して少々致命的なエラッタがあるため、エラッタ情報を確認してから遊ぶことを推奨する。



2.ロイヤルターフ(暫定評価:7)

 クニツィア先生のレースゲーム。
 今回は6人かつ初プレイだったので公開賭けでプレイ。
 これがまた面白い! それぞれ馬に賭けた後、順にダイスを振ってどの馬を進めるのか選ぶだけなのだが、全員自分の得になるように馬を進めたいのでひどい主張がバシバシでる。ちょっと抜粋すると次のよう。

「馬の目だからスノーホワイト潰しておこうぜ」
「いや、ここは一番勝ってるAさん潰すためにブラックストーリーを」
「ちょっと待て、馬の目ならまた出て誰か潰してくれるからオレンジーナ進めよう」
「いやそれ全部俺の得にならないだろ!(←振った人)」

 また、馬の選択肢は7頭全てが一度ずつ進むまで再度選ぶことができないため、最後の2頭辺りはダイス振る手に力がこもる。
 システム的な深みはまだわかっていないが、非常に面白いゲームであることは間違いない。3~4人でオススメとされる、非公開賭けのルールも試してみたい。



3.イス山さん(暫定評価:7)

 見た目通りのバランスゲームだが、縦にまっすぐ/滑りやすいように/ちょっと引っ掛けるだけ/足を上手く絡ませてなど、積み方の多様性が素晴らしい。
 カラフルなイスを積み上げて出来上がるものは見ていて面白く、積むときも如何に次の人に苦労させるかを意外と考える。



4.ダイスフォージ(暫定評価:7)

 話題のダイスビルド。写真はプレイ中に撮り忘れたため片付け中。
 特徴的なのはダイスビルドはダイスビルドでも、特殊ダイスの構成をビルドをするのではなく、文字通りダイス自体の面(フェイス)を入れ替えてダイスそのものを自分専用に構築していく。
 ゲームはオーソドックスなリソース管理で、フェイスを買うか、特殊なカードを買うかを繰り返す。フェイスも特殊カードも効果はほとんどがシンプル。全てアイコン化されており、最初から全て見えているためここで困ることは少ないだろう。
 個人的に少し気になったのは手番差だが、ダイス次第なところもあるので許容範囲な気はする。



5.グリムリーパー(暫定評価:7)

 ラングフィンガーのリメイク。ラングフィンガーは未プレイだが、それと比べてリプレイ性が増えるようになったとのこと。
 ゲームは意外と少ない、持ち運びしやすいサイズのワーカープレイスメントで、時間も比較的少なめ、対応人数も広めとかなり取り回しやすい。
 正直な話、あまり期待していなかったのだが、思っていたよりずっと真っ当なワーカープレイスメントで驚いた。
 ゲーム終了の20点は長いように見えて一瞬で、それでいてワーカープレイスメントらしいアクション選択の妙はしっかり感じられる秀作。
 特殊巻物カードの処理だけは個人的にイマイチだったが、逆に言えばそれくらいしか欠点は見つからなかった。
 ルールもかなり簡単なため、ワーカープレイスメントの入門に最適ではないかと思う。



6.航海の時代(評価:9)

 A.I.Lab.遊さんの国産同人ゲーム。
 ロンデルしながらマジョリティを競う、コンポーネントやルールはコンパクトながらプレイは非常に深みがあって面白い、個人的にどストライクなゲーム。
 今回は『王家の書簡』拡張を入れ、5人でプレイ。『王家の書簡』拡張入りは2度目、5人プレイは初だったが変わらず面白い。
 島の数が1つ多いため自分なりのロンデルを組むのが少し難しく、更に船の数も多いためあちこちでお金が吸われる展開に。そんな中自分は資材を6枚公開すると1点のカードにつられて資材を集めるも、別の1人が早々に投資を繰り返し3投資を達成。慌ててカードを取り遅れつつも投資をするが及ばず2位。3投資した島2つで3点はやっぱり強かった。
 場所も書簡も契約もまだまだ組み合わせは無数にあり、今後も繰り返し遊びたい一作。

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最近面白かったゲーム(2018/06/04)

1.ロレンツォ(評価:7/10)  リソースカツカツのワーカープレイスメント。  ワーカーにパワーがあり、パワーは共有ダイスによって決まるため、実質的にはダイスプレイスメントではないかと思います。  ゲーム的にはカードが中心で、どのカードを取得するかが大切になってきます。  カードはおおまかに4種類に分類でき、1種類のカードを集めると大きく得点になりますが、獲得には他の種類がある程度必要になる絶妙さとなっています。    ダイスが共通というのが面白く、通常のダイスプレイスメントよりも運要素が減り、他人のダイス目をいちいち確認しなくていいのは非常に遊びやすいです。またパワーを持たないワーカーだったり、エリアごとに一番手が少しずつ得だったりするのもリソース管理や早取りにアクセントを付けていて、楽しさも悩ましさもひとしおです。    全体的にリソースはカツカツで、ワーカープレイスメントらしいアクションやカードの取り合いにフォーカスされた、明快さの気持ちいい作品です。 2.アルペンツィアン(評価:8/10)  2018ゲムマ春の新作。ダイスを使った紙ペンゲーム。  スタートプレイヤーがラウンドのはじめに全てのダイスを振り、その後手番ではダイスを一つ選び、5色あるマスから空いているところに選んだダイスを配置。対応する目を、自分のシートの対応する色に書き込みます。  やることはたったこれだけなのですが、得点周りが非常によくできており、自分だけでなく他プレイヤーの書き込み状況を考えなければなかなか勝てないようになっています。  ダイスゲームにしてはダウンタイム長めですが、シートへの書き込みにお絵描きを推奨しており、ちゃんと後から見てわかれば自由にマークを描けるのが面白いです。遊んでみて、「ダウンタイムが足りない」と言われるのも納得です。  ダイスゲームらしい運の楽しさがあり、シートを埋めていく箱庭的楽しさがあり、お絵描きという根源的な楽しさがあり、それでいて取捨選択するジレンマの楽しさもある傑作だと思います。

ペーパーテイルズのご紹介

ボドゲ紹介 Advent Calendar 2018、3日目の記事です。  突発ですが、ボドゲ紹介 Advent Calendarに今年も参加させて頂きました。昨年参加した記事は こちら (大鎌戦役について書きました)を。  「ボドゲ紹介 Advent Calendar 2018」については こちら をご覧ください。  【概要】  ペーパーテイルズは、国産インディーゲーム「ヴォーパルス」のリメイク作品です。  ユーロ寄りながら、少しだけTCG的なテキストもある傑作ドラフトゲームです。  より詳しいルールの概要は過去に書いた こちら をご覧ください  【魅力1 経年による時間経過】  ドラフトで巡るユニットカードは、場に出すとラウンドの終わりに経年マーカーを乗せます。また、経年マーカーが乗った状態でラウンドの終わりを迎えると、ほとんどの場合そのユニットは捨て札となります。  経年マーカー一つはゲーム内の25年を表しており、2つ目が乗る50年までにそのユニットが十分に動けなくなることが読み取れます。同様に、2つ目のマーカーが乗っても大丈夫、すなわち長寿なユニットや、最初からマーカーが乗っており残りの寿命が短いもの、はたまたより多くのマーカーを乗せることで価値が高くなるものもあります。  この不均衡さに情緒と、時のうつろいを深く感じます。 【魅力2 経年しない建物】  先程経年について触れましたが、ユニットとは逆に経年しないものがゲーム中に登場します。それが建物カードです。  建物は最初からすべてのカードが公開されており、条件を満たすことで自分の場に建築できます。  建築された建物はゲーム内時間で100年の間、劣化することなく場に残り続け、恩恵をもたらします。この建物カードがあることで、ユニットカードのすぐに退場してしまう儚さが際立っているように感じます。 【魅力3 テーマと一致したシステム】  ここまでご紹介したように情緒と時間を感じられる素敵なテーマです。  同時にシステム的にも優れており、手札運の絡むユニットが2ラウンドで退場することで、運要素の影響を軽減しています。  ユニットとは逆の性質を持つ建物は最初からすべて公開されており、運要素はありません。そのため、どの建物をいつどの順に建てるかは計画的に行え...

【紹介】大鎌戦役

 この記事は ボドゲ紹介 Advent Calender 2017 、4日目のものになります。  詳しくは是非リンク先を!  さて、今回は紹介ということで、僕が今年初めて遊んだ中で最も好きなゲーム、大鎌戦役を紹介したいと思います。   ◯概要  以下、アークライト様より引用。  『サイズ』は1920年代のもうひとつの世界の舞台にした、重量級4X(探検・拡大・開発・破壊)ゲームである。そこは農業と戦争の時代、そして傷ついた心と古びた兵器、発明と勇気の時代であった。 欧州に積もる雪は人類最初の世界大戦の灰で黒ずんでいた。かの大戦に重装甲兵器《メック》を送り込んだ「ファクトリー」と呼ばれる大都市国家はその門戸を閉ざし、近隣国家に注視されていた。戦場へと赴く五カ国のうち、自分の帝国を東欧の支配者にまで成長させ、富と名声を得るのは誰か? 世界中で数々の賞を受賞した世紀の傑作重量級ゲームが、完全日本語版となって堂々登場!  というわけで、巨大兵器メックが闊歩し灰燼烟るディーゼルパンクな世界で、謎の大都市国家ファクトリーと東欧の覇権をめぐる、ドラマとロマンの溢れるゲームです。 ◯魅力その1――シンプルなベース  このゲーム、プレイ時間は115分の4Xゲームなだけあってそれなりにルール量があるんですが、実際にはそんなに難しいゲームじゃなかったりします。  というのも、プレイヤーに与えられている選択肢はたった4つなのです。手番では個人ボードに描かれた4つの区画から、1区画を選択します。この1区画は上下に1アクションずつアクションが示されていて、この2アクションをそれぞれ実行できます。  つまり、4組8アクションから1組2アクションを選ぶだけなんです。  もちろんこの選択肢には各国の特殊能力なんかも絡んでくるので一筋縄ではいかないわけですが、それでも4つから1つを選ぶというのは比較的わかりやすいんじゃないかと。 ◯魅力その2――直接攻撃の軽減  4Xであり、戦争をテーマにしているだけあって戦闘がありますが、このゲームにおける戦闘は『殴りかかって勝ったのに痛い』可能性があります。  というのも、ゲーム中に非戦闘員であるワーカーを戦闘に巻き込んだ場合、勝利点に直結する民心が下がるのです。  また、戦闘で勝つために必要な軍事力は使い切りで...