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【紹介】ラブレター

かわいくて辛い。一枚の手札に思いをのせて。


【評 価】9/10
【運要素】高。短時間ゲームなこともあり運はそれなりに
【戦略性】高。16枚のカードとは思えないほどの駆け引き
【難易度】易。ルール説明は5分もあればOK

【ルール概要】
 1.各プレイヤーは手札を1枚ずつ持つ。
 2.手番の最初に山札から1枚手札に加える。
 3.2枚の手札からどちらかをプレイし、効果を解決する。
 4.「他の全プレイヤーが脱落する」か「山札が枯れるまで進め、最も大きな数字を手札に残した」プレイヤーが勝利。

【魅力その1 絞られた要素】
 カードの総数は16枚、種類は8種類、手札は1枚、プレイは5分と要素の絞られたゲームです。それでいて初心者からゲーマーまで楽しめるだけの優しさと運、駆け引きと戦略性をもっていて、非常に優れた作品です。

【魅力その2 信じられないほどの戦略性】
 何度か遊んでいると(もしかしたら初めてでも!)プレイされたカードや、兵士による宣言からなんとなく相手の持っている手札が透けて見えてきます。これによって如何に脱落させるか考えたり、山札に残っているカードを予想して待つことなどができます。
 そしてこれらがわかってくるとバレないように立ち回ろうとしたりすることもでき、本の数分の短いゲームながら濃い時間が過ごせます。

【魅力その3 かわいらしいテーマとコンポーネント】
 通常版も良いのですが、ケン・ニイムラ版が僕のお気に入りです。
 ラブレターを姫に届けるというテーマも、ハート型のカウンターも、カードの絵柄も可愛らしくて最高です。ケン・ニイムラ版は通常版に比べて箱が小さい点も自分好みです。

【総評】
 ゲームの面白さが小さな箱と短い時間にぎゅっと凝縮されています。是非ふんわりしたプレイも、胃の痛くなるような駆け引きも、大臣による不条理も一度は体験して楽しんで貰いたい傑作です。

コメント

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